情景「プールサイド」

2025/10/01

トサミズキの復活

トサミズキが猛暑で葉枯れが進行したこと、そして、そんな風に痛めつけられながらも、新芽を出さんと一所懸命であることを書いたのは、一月ほど前のことでした。その新芽がだいぶ成長を遂げて緑を色濃くしています。トサミズキが見事によみがえってくれました。拍手ですね。これだけ葉が茂ってくれたら、来春に向けてエネルギーの蓄えも十分にできて、また黄白色の花を見せてくれることでしょう。夏から秋に向けて、庭園はささやかですがホッとするドラマを見せてくれました。

 

 

(以下、柴橋さん投稿です)

東の生垣がテイカカズラ(定家葛)の花の香りでいっぱいです。5月の連休の頃から生垣一面がテイカカズラの花で覆われていたのが、8月の盛夏で流石に形を潜めたと思いきや、再び勢い付いて来ました。それでも、テイカカズラは春から初夏の花という印象があるので、図鑑や文献を調べて見ると、やはりどれもテイカカズラの花期は春から初夏とあるではありませんか。狂い咲き?かとも思えるのですが、ここ数年、いつも盛夏を過ぎた今頃になってまた咲き出すのが常。周辺の他所でもそうですから、今や二期咲きが当たり前になっている様です。

 

春の花という印象がある花をもう一種。ヤエヤマブキ(八重山吹)です。満開に咲き誇っていたのは4月中頃だったかなと思いながら過去の写真を繰って見るとその通りでした。図鑑や文献を調べて見ると、やはり記述は春咲きの花。これも狂い咲きとするには見事な咲きっぷりですし、周辺の他所でもそうですから、やはり今や二期咲きが当たり前になっている様です。

(私も、上記2点変だなと思っていました。)

 

これも二期咲き。ただし夏前が謂わば試し咲きで今が本咲きのミヤギノハギ(宮城野萩)です。先週シロバナをご紹介したので、今週は紅紫色の方を。

(こいつが、今年、株が小ぶりで寂しいのです。頑張って育っておくれ。)

 

狂い咲きとまでは言いませんが、でも咲き出すにはまだ早いだろうと思わせるのが、この桜。プール棟西側のシキザクラ(四季桜)です。流石に盛夏には咲きませんから三季桜ですが、今年はまだ残暑の9月ですから例年より咲き出しが早い様に思います。

 

プール棟の南、アキニレ(秋楡)が花の季節を迎えました。花とはいえ風媒花ですから飾り気はないものの、何しろ変化が早く、毎日の慌ただしい変貌ぶりには驚かされます。写真は開花初期。赤みを帯びた葯を付けた雄蕊がグーの様に手を結んだ状態から開き始めました。中には花粉を放出して褐色に変色した葯が目立つものも見えます。その状態の花の姿はある種のキノコの様。また、二裂した花柱の雌蕊が伸び出しているものもあります。木全体が急に賑やかになった感があります。

 

芝生の周縁部の地面を覆っているヤハズソウ(矢筈草)が小さな花を咲かせ始めました。「矢筈」が名前になっているのは、弓矢の弦(つる)をかける部分の切り込みである「矢筈」の如くに葉脈が入っているからだとか。確かに葉を千切ると葉脈に沿って切れてV字型に切れ込みます。花はいかにもマメ科ならではの姿です。小さいけれど見つけてやってください。

 

芝面の縁というか散策路の縁で地べたに貼り付く様に生えているコニシキソウ(小錦草)。他の草が茂っていない場所を好んでいるかの様です。白い毛が密生した球が果実。その先端には二裂した花柱が三個あります。まだ果実として膨らんではいないものの似た構造のものが見えますが、それが雌花。それに対し、黒っぽい雄蕊を付けているのが雄花。一見、風媒花の様に思えるかも知れませんが、雄蕊周りには黄色い腺体があるので虫媒花の様です。不思議な構造の花です。

 

芝生の中にあって、ここは元々は自分の場所と主張しているかの様に、一面に違和感なく広がっているのがオオフタバムグラ(大双葉葎)。ムグラとは密生して茂る草のことですから、名前の通りなのです。淡い紫色の可愛いらしい花が咲いています。でも午後夕方前にはお行儀良く花を閉じてしまうのでこの姿。

 

真っ赤な林檎色をした果実。扁平な球形をしていて、先端に複数の黒っぽい突起が残っています。変貌が慌ただしいヌルデ(白膠木)の雌花が若い果実となりました。近くに雄株がある様には見えませんが、どこかにあるのでしょうね。さあ、これからどう変貌していくのでしょうか。

 

写真だけパッと見せられると何かの芋虫の様に思われるかも知れません。また、現物を肉眼で見ると、アブラムシに集られた何かの草だと思われるかも知れません。確かに、見ていると、黒いものが不気味に蠢いています。で、写真で見ると、蠢きの正体は黒い葯と黒い雌蕊、れっきとした花でした。蠢いている様に見えたのは、細い糸に吊るされている葯が、僅かな空気の動きに揺らめいているからでした。イネ科の植物シマスズメノヒエ(島雀稗)です。

 

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