情景「プールサイド」

2020/12/22

冬枯れのただなかで

冬がやってきました。寒さが厳しさを増す中で、植物や昆虫たちの生の営みが淡々と進んでいきます。そんな郷の情景をお届けします。

 

(以下、柴橋さんの投稿です)

第一病舎南側に広がる芝の南西に、新しい葉が赤く、小さな白い花を咲かせ始めた、見覚えのある木がありました。ベニカナメモチの様に思えたのですが、開花時期は5月か6月の筈です。解りかねたので、近くにいらした植栽の方に尋ねてみると、「ああ、あれはレッドロビンです」と即答を得ました。「今頃も花を咲かせるのですか?」と問うと、やはり花は5月とのこと。「では、あれは?」と更に問うと、「あれぇ、そりゃ狂い咲きだ!今度叱っておきます」とのことでした。

この時期は、咲いている花が少ないせいか、虫が集まって来ていました。ある種の虫にとっては、好みの匂いなのでしょうか。空中で静止するホバリングの上手いホソヒラタアブです。

花に止まったホソヒラタアブです。「虻蜂取らず」などと、アブとハチを一括りにしがちですが、良く見ると違いは歴然としています。トンボを思い浮かべれば分かる様に多くの昆虫は4枚羽を持っていてハチもそうですが、アブは2枚羽です。本来あるべき後ろの2枚は退化していて痕跡しかないのだそうです。身近に見る2枚羽の昆虫にはハエ(蠅)がいます。そうです、アブ(虻)はハエの仲間です。良く見ると、大きな眼、くびれのない胴体、と共通点が多いことに気づきます。口から長い舌を出してペロペロと舐めるのも同じです。それに対し、ハチ(蜂)は、頭、胴、腹の区別がはっきりとしており、舌は舐めるのではなく吸うのに使い、ハエではなくアリ(蟻)の仲間です。

花に近づいて良く見ると、5枚の丸い花びらを広げる、小振りながら、梅の花を思い起こさせるはっきりとした容姿です。雄蕊が20本、雌蕊の先は2つに分かれています。

本当の梅の方は、花芽が蕾であることが分かる様にふっくらとなって来ました。尖った形の小さめの芽は葉芽だと思います。

近くにマサキ(柾)がありました。丸い実の幾つかは分裂して橙赤色の種子が現れています。

鳥が種子を食べちぎった跡なのか、種子の付け根のみが橙色に残されています。4つに裂けるようになっているのは、食べられ易い様になのでしょうか。

オリーブの樹に、らしからぬ一連の珠玉が掛かっていました。ヘクソカズラ(屁糞葛)の実です。ひどい名前の元となった匂いがあったとは、知らなければ、鼈甲色に輝く実の姿からは思えません。虫を引き寄せるには匂いで、鳥を引き寄せるには色でということでしょうか。

(夏に咲く可憐な花の結実ですね)

アリマキ(蟻牧)とアリ(蟻)

丸池の向こうにあるハゼノキに、アリマキ(蟻牧)を見つけました。ちゃんと足もある昆虫でありながら、自身では殆ど移動せずに、ハゼノキの汁を吸って生きています。その排泄物にある糖分を求めてアリが寄って来るのでアリマキは外敵から守られ、アリは糖分を確保する、これを「共生」という、と学校で習いましたが、このごろの政治外交用語で言えば、両者「ウィンウィンの戦略的互恵関係」ということでしょうか。でもハゼノキにとっては、搾取されるだけの被害です。

院長室棟の西にシロバナスイセン(白花水仙)が咲き出しています。6枚の花びらが形作る花冠(クラウン、コロナに続く冠シリーズとして命名された車のカローラはこの意味です。因みにこのシリーズ最後は冠をもじったカムリです。)の中に、盃のような副花冠(片仮名語ではコロナです!)があるのが水仙の特徴ですが、この部分まで真っ白な早咲きの水仙です。何だか清々しい気分にさせてもらいました。

 

(木枯らしと和して咲きしか野水仙)

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