情景「プールサイド」

2025/05/28

国立駅の燕

通勤駅の東京・国立駅、毎年この時期に燕が巣を構えます。改札口をはさんで内にも外にも巣が作られ、親鳥たちが飛び交います。今どきの駅舎では、案内放送のスピーカーが格好の巣台になります。去年の巣を補修して使うことが多いようです。巣の下には駅員さんが取り付けてくれたのでしょう、燕の落とし物の受台が取り付けてあります。だいぶ大きくなった雛たちが巣から顔を出し、餌を運んでくる親の帰りを待ちます。燕慣れした駅利用者はそんな光景に目をくれることもなく足早に行き来、この無関心さも燕の安心感に繋がっているようです。もうすぐ巣立ち、巣は空き家となって来年の訪れを待つことになります。

 

 

(5/29以下、柴橋さん投稿です。)

散策路を進んで行くとゼンテイカ(禅庭花)が咲き始めていました。通称ニッコウキスゲ(日光黄菅)です。通称名のせいで高原の花というイメージがあるやも知れませんが、低地でも育ちます。朝に開花し夕方には萎んでしまう一日花なのですが、入れ替わって新しい花が開くのであまりそういう印象がありません。ユリに似た外見とは違って意外なことに香りは弱いのですが、香り自体は良い香りです。

 

そんなゼンテイカの香りを圧倒しているのは、オオバイボタ(大葉水蝋)の甘い香り。個々の花は小さいのですが、それが集まって大きな花序(かじょ)を形成しています。香りが強いのも、モクセイの仲間だと知れば、道理です。イボタノキという名前は、その枝に寄生するカイガラムシが分泌する白蝋を昔はイボ(疣)取りに用いたからだとか… ちょっと想像するのが難しい…

 

オリーブにも白い小さな花が咲き始めました。小さい乍らも甘いとても魅力的な香りです。見たところ、花の大きさ(小ささと言うべきか)には不釣り合いに大きな葯、雌蕊は退化してしまっている花が多い様です。それでも数は多くありませんが雌蕊が確と見られる花もあります。なので雄花と雌花かと思うのですが、文献には両性花とあります。???

 

こちらは雌雄の花が明瞭に区別できるマテバシイ(馬刀葉椎)。この写真は雌花。と言っても3本の柱頭しかありません。これが受粉してドングリになります。とは言え、それは翌年の秋。マテバシイがドングリになるのは1年半を要します。

 

マンテマの群生です。マンテマは背が高くはないので、香りを聞くには身を屈めるのもなかなか大変ですが、微かに甘さのある香りがします。これだけ沢山群生していても、強い香りがすることはありません。ナデシコの仲間ですから、もう少し香りがしても良い様に思いますが、開花してからの時間や1日のうちの時間帯に依るのかも知れません。

 

その近くのダンチク(段竹)の下部に鼻の長い虫が。ゾウムシ(象虫)です。グーグルの助けを借りて調べると、オリーブアナアキゾウムシ(オリーブ穴あき象虫)の様です。オリーブの幹に穴をあけて幼虫が幹を食い荒らすという、オリーブの天敵だそうです。ほかに、イボタノキやネズミモチにも集まるのだとか。見つけた場所からも成程と納得です。でもこの個体、片方の触角と何本かの関節肢を失っています。どこかで激しく何かと闘争したのでしょう。暫しの安静休息が必要の様です。

 

などと思っていたら、深い芝叢で蛇に遭遇し、足が竦んでしまいました。いえ、大慌てで後退りしてしまいました。落ち着いて観察すると、草叢と同化した様な色ですから青大将の様です。青大将は性格もおとなしいと聞いているので、まずは安心しました。ここで遭遇したのは、この日が雨上がりの天気だったことも関係するのでしょうか。

 

芝中にイネ科の植物が伸び出ています。これはスズメノカタビラ(雀の帷子)でしょうか。イネ科の植物らしく、花は蕊がチョロっと顔を出す(写真は雄蕊)のみなのですが、被写体としては挑戦甲斐のある花です。「帷子」とは正絹や麻布で仕立てた夏用の単衣の着物で、現代なら差し詰め浴衣に相当するものとか。小穂の形をそれに見立てなのでしょうか。

 

数週間前(2025/05/07)にコバンソウをご紹介しましたが、それを十分の1くらいに小さくした様なのがヒメコバンソウ(姫小判草)。これもイネ科です。挑戦甲斐は雀の帷子以上です。今回、チョロっと顔を出した雌蕊を鮮明に撮ることが出来て自己満足です。

 

茅ヶ崎の名前の由来とも言われるチガヤ(茅萱)、これもイネ科です。今の時期、海岸の134号線の分離帯などで風に靡きながら銀色に光る細身の穂は美しいものです。銀色に輝くのは先端の絹毛。細身だった穂から雄蕊が広がり、燕脂色の雌蕊が出現し始めると全体としても淡い燕脂色へと印象が変わり、それもまた面白きかなです。

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