情景「プールサイド」

2023/04/27

茅ヶ崎美術館アウトリーチトーク

茅ヶ崎市美術館25周年記念企画展が4月8日~6月11日の日程で開催されています。その一環で南湖院をテーマとするトークイベントを現地で開催したいが、太陽の郷の会議室をお借り出来ないかと美術館の藤川悠さんが相談を持ち掛けてきたのは1月半ばのことでした。コロナ禍の下、室内での開催は難しいが、第一病舎前の庭を使った青空セミナーはどうかとの提案に飛び付いていただきました。以降、藤川さんの卓越した企画力で、4月23日(日)の開催にこぎつけ、美術館小川館長とゆかりの人物館平山学芸員による軽妙洒脱な南湖院談義に20名ほどの参加者たちが聞き入りました。天候にも恵まれ、新緑の中で1時間半のセミナーは瞬く間に終わったのでした。

遠く南湖院時代、髙田畊安は敷地内に設けた海浜会場、林間会場で、入院者や見学者に衛生講話・健康造りや聖書の話などをされていました。畊安も孫準三も空の上からこの日の企画を頷きながら楽しんでくれたに違いありません。

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

準備棟正面出入り口傍に咲く白い小さな花、シロノヂシャ(白野萵苣)です。わざわざ白というからには他の色もあるのかと思いきや、そうではなく、花序を囲っている小さな葉(苞(ほう)というそうです)以外はそっくりなノヂシャと区別するための様です。

 

小ささでは、こちらの方が勝るかも知れません。ヤエムグラ(八重葎)の花です。「葎」とは、密生して藪を作る草の総称だそうで、ヤエムグラの場合は何重にも重なって生えることからこの名で呼ばれるようになったとか。百人一首でその名をご存知の方も多いのではと思います。毛が密生した小さな球は果実です。この毛で衣服や動物にくっついて広がる仕掛けです。

 

先週紹介したツルウメモドキ(蔓梅擬)は雄株の花でしたが、遅ればせながら、雌株も開花しました。秋から冬にかけて鮮やかな朱色の種子となるのは勿論こちらの方です。葉が確かに梅に似ています。

 

スイバをやはり先週紹介しましたが、こちらは似てはいるものの草全体がかなり小さめのヒメスイバ(姫酸葉)です。やはり雌雄別株で、これは雌株の花です。スイバに似ているとはいえ、葉の基部が耳状に張り出しているので、スイバとの区別は容易です。

 

一週間前は雌蕊だけの雌性期だったのが、雌蕊は枯れて今は雄蕊だけの雄性期となったシバの花です。足元にはコメツブツメクサ(米粒詰草)が変わらずに沢山咲いています。

 

大木、クスノキ(樟・楠)に小さな花が沢山咲き始めました。「楠」の字を使うことが多いですが、木偏に南という字が表す様に、「楠」は南方から来た木を意味するだけの様なので、クスノキを特定するには「樟脳」の「樟」の方が適切だそうです。個々の花には雌蕊が1本、雄蕊が外側に6本、この個体では内側に4本見えています。橙色の6本は腺体だそうです。ひとつひとつの花は小さいものの、数の力もあってか、鋭角的ながらも爽やかな香りを漂わせています。

 

旧第一病舎の西の大きなミズキ(水木)にも沢山の花が咲き始めました。春先に枝を切ると水(樹液)が滴り落ちることが「水木」という名前の由来だそうですが、たまたま鳥か虫にでも傷つけられたのか、本当に茎から水が滴っていました。驚きました。同時に、なるほどと納得しました。

 

一月ほど前に、その近くに咲いていたアミガサユリ(編笠百合)を紹介しましたが、雌蕊を支えていたナットが、予想どおり特異な形の果実となっていました。知らずにこれだけを見たら、「なんだこれは」と思いますよね。

 

その編笠百合の近く、同じく一月ほど前に紹介したコケ、柄の色が赤いのでヤノウエノアカゴケ(屋の上の赤蘚)と安易に思ったのでしたが、その後調べてみるとコメバキヌゴケ(米葉絹蘚)、ノミハニワゴケ(蚤埴輪蘚)など、よく似たコケがぞろぞろとあり、目視だけでは判別ほぼ不可能と知りました。で、今の様相がこの写真。赤錆びた水道管の継ぎ手の如き姿です。

 

極小の花ばかりだったので、最後は大きな花を。ひょうたん池の水辺のキショウブ(黄菖蒲)です。上に大きく反っている花弁の様な3枚が雌蕊。一方、雄蕊は雌蕊の下に隠れていると見るべきか、あるいは、目立たぬ様に雌蕊を裏で支えていると見るべきか、ともかくも、雌蕊の下に部分的に僅かに見える黒い筋状のものが雄蕊の葯です。雌蕊の花柱も、雌蕊の裏側、葯の先で雌蕊が反る辺りに顔を覗かせています。

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