情景「プールサイド」

2020/12/10

郷は秋から冬へ

師走の風が身に沁みるようになってきました。(太陽の)郷は初冬の佇まい、柴橋さんがその移ろいを映しとってくださいました。

(写真をクリックすると拡大できます)

 

柔らかい穏やかな日差しを浴びた紅葉の樹々、その長い影の中でぼんやりと微睡みかけていると、一瞬、ビクッと冷たい風。初冬の訪れを感じました。

(第一病舎を南東から見ています)

センダン(栴檀)の葉が大分落ちてきたので、実の姿が露わになってきました。鳥たちが頻繁についばみにやって来て賑やかです。

(プール南側芝生の中央あたり)

トベラの果実が熟して、中の赤い種子が顔を出し始めているのを見つけました。鳥たちが果実を食べて、トベラは種が広まります。葉が厚いトベラは、潮風にも強いので海岸近くの地でも丈夫に育ちます。この樹も、鳥たちが運んで来た種から自生したものかも知れません。

(院長室棟の東寄りです)

南湖院第一病舎南側にあって緑色だったネズミモチ(鼠黐)の実も熟して、紫黒色になりました。姿がモチノキ(黐の木)に似ていて、熟した実がネズミの糞に似ているから、ネズミモチと呼ばれる様になったそうです。であれば、熟した実の姿こそネズミモチらしさを表しているとも言えそうです。ネズミの糞を目にする機会がない今となっては、ネズミの糞はネズミモチの熟した実みたいなものと逆に説明する方が良いかも知れません。

隣にはネズミモチより葉も実もやや大きいトウネズミモチ(唐鼠黐)が、明るい紫黒色の実を沢山つけています。ネズミモチが在来種であるのに対し、トウネズミモチは、漢字の表記通り、明治初期に導入された中国原産の外来種だそうです。

シャリンバイ(車輪梅)の丸い実も黒紫色に熟しました。南湖院第一病舎南側には、ネズミモチ、トウネズミモチと並んでいるので、比べると同じ黒紫色の実でも違いが良くわかります。

ツルウメモドキ(蔓梅擬)の丸い黄色の果実が三裂して、朱色の種子が姿を現しました。色鮮やかな果実と枝は生け花やリースにも利用されているのをよく見かけるので、馴染みがあります。

第一病舎東側に生えているモッコク(木斛)は葉の基部が赤いので容易に同定出来ます。もう、冬芽も赤い顔を出しています。一見、実の様に見える白い塊は、良く見ると花の蕾です。開花の時期は6月初めくらいなのに、何と早くから備えていることか、これには驚きです。準備周到なのか、はたまた花芽でいるのが我慢し切れなくて蕾になってしまうのか。いずれにせよ気長に見守って行きましょう。

(繊細な観察眼を感じます)

ススキ(薄)の穂がキラキラと光り輝いています。一見似ていますが、庭のパンパスグラスは同じイネ科でもヨシの仲間で、ススキとは族が違うそうです。確かに、パンパスグラスには立体的なボリューム感が、ススキには風になびく軽やかさが印象的な様に思います。

良く見ると、ススキの穂は多数の枝分かれした実から成っており、夫々の実の先から細長い刺(芒)が伸びていて、実の基部には繊細なガラス細工の様な多数の極細針が円盤状に広がっています。穂全体がキラキラ光り輝いて見えるのは、この無数の針による光の反射のためなのでした。いずれは風に吹かれて、この針の円盤のお陰で遠くまで運ばれ、細長い刺でどこかに引っ掛かる仕組みなのでしょう。自然の細工の巧みさには感嘆です。

ナンキンハゼ(南京櫨)の葉は大分散ったとはいえ、まだ少し残っているその鮮やかな紅葉はやはり目立ちます。ヒヨドリ(鵯)が大きく嘴を開いて白い実を咥えました。

(写真中央に鵯がいます。院長室棟西側)

賑やかなヒヨドリ達には我関せずと言うが如く、高い松の枝に悠然とトビ(鳶)が止まり、真っ直ぐに遠方を見据えていました。

(鳥類の登場です。この先が楽しみになりますね)

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