情景「プールサイド」

2021/03/23

かすみか雲か・・・♪

東京よりやや遅れて、湘南でも桜の開花が聞こえてくるようになりました。いつもより早めですね。
郷の桜は、二月末の河津桜に始まり、今、大島桜が盛り。第一病舎の東寄りのこの地の標準木に定めている染井吉野もほころび始めました。そして桜の足もとや周りで、小さな草花が私たちもと春を告げるのに忙しい日々が過ぎていきます。

 

(以下、とてもわかり易い理科の先生柴橋さん便りです)

新しく植えられた若い桜の二本の木が花をつけています。花弁の内から縁にかけての濃淡の推移が美しく華やかな咲き方です。ジンダイアケボノ(神代曙)という品種だそうで、全国の大量のソメイヨシノがそろそろ寿命を迎えるのを控え、「てんぐ巣病」に弱いソメイヨシノからの代替品種として推奨されているのだそうです。調布市にある神代植物園に原木があることからジンダイと冠されているそうです。

(第一病舎の北寄りです)

今年は暖かい日が多かったせいか、春分の日を過ぎたばかりというのに、オオシマザクラ(大島桜)ももう満開です。桜越しに見る旧南湖院第一病舎の眺めは、何やら懐かしい日々を思い起こさせてくれます。

旧南湖院第一病舎の西側に咲く、鮮やかな緋色の桜もほぼ満開です。桜は交配種が多く、品種の同定は難しいのですが、あれでもない、これでもないと図鑑と見較べながら推理するのも楽しいものです。ヨコハマヒザクラ(横浜緋桜)というのが似ているかな、と思ったのですが、どうでしょうか。

(ショウナンヒザクラ(湘南緋桜)ときいています)

その傍に咲いているのは、そのまま髪飾りになりそうなキブシ(木五倍子)の花です。難読漢字の一つでしょう。そもそもフシ(五倍子)というのがヌルデ(白膠木)という木に虫が寄生して出来る瘤のことで、それが黒色の染料として使われていたのだそうです。本来は「付子」なのですが、瘤によって大きさが五倍にもなるので「五倍子」と書いてフシと読ませるらしいです。そして、この写真の花の後になる実からも黒い染料が採れ、それがフシの代用として使われたことから、この木がキブシと呼ばれるようになったそうです。既婚女性が歯を黒く染める風習の「お歯黒」などに用いられたのだそうです。ところで、ご覧の様に、この写真の花は雌蕊しかないようなので雌花です。キブシは雌雄が別の株なのです。

反対の東側では、10月末には花芽が鎖状に連なっていたアセビ(馬酔木)の花が満開となりました。可愛い音がする様な気がして枝を揺すってみたくなる様な咲き振りです。

南側の芝生に廻ると、スズメノヤリ(雀の槍)が沢山突き出ていました。風変わりな名前ですが、ここでのヤリとは、大岡祭での大名行列などで見られる、槍の鞘に鳥の羽毛を飾りつけた儀式に使う毛槍のことだと言われれば、分からないでもありません。スズメとあるのは、単に小さいという意味だそうです。葉には毛が沢山付いています。

頭の部分をよく見ると、紫褐色のイネの様な形の地味な花が集まったものであることがわかります。それぞれの先から、何やらヒョロヒョロと3本伸びていて、不思議な構造をしています。これが雄蕊かな、と思わせるのですが、実はこれが雌蕊なのです。では、雄蕊はどこに?

こちらの個体では、ヒョロヒョロ雌蕊はもう萎びていて、一部の花では子房となっています。雌蕊にとって代わって出現し始めたのが、花粉を持った雄蕊です。雌蕊が先に熟し、受粉後に雄蕊が出ることで雌雄別株でなくとも自家受粉を避けることの出来る、「雌雄異熟」と呼ばれる巧みな仕組みになっている訳です。あれあれ、なんだか、理科の先生風になってしまいました。

芝生には、お馴染みのカラスノエンドウ(烏野豌豆)の紅紫色の花も咲き始めました。カラスの豌豆ではなく、野豌豆で豆の鞘が真っ黒になるのでカラスが冠されているのだそうです。正式名称はヤハズエンドウ(矢筈豌豆)というのだそうですが、一般にはカラスノエンドウですね。矢筈とは、弓に掛けるためにつけられている矢の窪みのことだそうです。葉の先端が少し凹んでいるのを矢筈に見立てたのでしょう。

ひょうたん池の傍には、ヘビイチゴ(蛇苺)が花を咲かせています。雄蕊は20本程ですが、雌蕊の方は、花托(かたく)と呼ばれる花の真ん中の盛り上がった丘に、数え切れないくらいあります。それぞれがツブツブの種の様な実(痩果といいます)となるのですが、一般には、そのツブツブをつけたまま大きくなった花托全体をイチゴの実と捉える方が多いと思います。なんだか、また理科の先生風になってしまいました。

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