情景「プールサイド」

2021/04/01

お花見から新緑へ

コロナ禍の下、「黙」と言う字が大事にされています。「黙食」だそうです。お花見も浮かれることなくおとなしくが推奨されています。辛抱の日々が続きますね。
そんな中、プールから泳ぎながらお花見と洒落込んでいるのは柴橋さん、「黙泳」を粋にきめていました。

暖かい3月でした。桜は入学式を待たずに散っていくようです。木々の芽吹きがいつもより早めの郷の春を演出しています。新緑が艶やかです。

 

(以下、柴橋さん投稿です。)

 

冬の間閉められていた不透明な内窓が開かれた暖かい日、大きな松を背景にして咲く満開の桜の華やかな姿を窓越しに眺めながら泳ぎを楽しむという、ちょっと他所では得られそうにない贅沢なお花見が出来ました。今年はこの日の様な花曇りの日はありましたが、花冷えの日はありませんでしたね。

工事のためにプール棟の北側への立ち入りは制限されていましたが、そこに咲くプール棟の屋根を悠に凌ぐ大樹の大島桜も見事なものでした。

プール棟西側に咲く四季桜も、春になると、秋冬に比べて、花は大きくなっているように思えます。

旧南湖院第一病舎西側の緋桜も満開となりました。正門を入ると、遠くからでもその緋色が良く目立ちます。

そして満を持しての真打ち登場という風に、ソメイヨシノ(染井吉野)も満開となりました。都心に比べると、茅ヶ崎での開花は例年遅いのが常ですが、それでも今年は「♪サクラ咲いたら一年生」ではなく、「サクラ散ったら」になってしまいました。

今年は、他の樹々の芽吹きも、ひと月ほど早いように思います。新緑の展開とほぼ同時に花を咲かせる樹々が数多くあります。正門傍に立つ、堂々としたエノキ(榎)もその一つです。花というより、萎んだ花粉袋(葯(やく)というそうです)を先端につけたヨレヨレの雄蕊だけの単純な構造のものが目立ちますが、これらは花粉を弾き出したあとの雄花でしょう。見るからに風媒花です。同じ枝の先端部には、雄花とは様相を異にして、まだパンパンの花粉袋を下に従えながら、びっしりと毛に覆われた雌蕊らしきものを突き出したものが見えます。こちらは、一つで雌雄両方の役目を果たす両性花のようです。エノキは一本の木で雄花と両性花を咲かせています。

春眠暁を覚えず… エノキの枝の先端で蟻が大あくびをしているかの如く、手足(?)を伸ばして体を思い切り反らせていました。

プール棟の東に聳えるケヤキ(欅)も、例年になく早く、美しく芽吹き始めました。新緑が目に眩しい春の風情です。見上げて良く観ると、枝に沢山の小さな瘤の様なものがあることに気がつきました。

これがケヤキの花のようです。と言われてもこれが花?と戸惑ってしまう姿ですが、枝の元の方で数個ずつ集まって咲いているのは雄花のようです。花弁があるでもなく、雄蕊だけが剥き出しですが、やはりケヤキも風媒花だとか。でも花粉症を引き起こすという話は聞きません。

一方、枝の先端部には、毛に覆われていてニョロリと二裂した太い雌蕊だけが目立つ雌花が咲いています。ここには写っていませんが、少し下方には中間的な両性花が咲いています。ケヤキは一本の木に雄花、雌花と両性花を咲かせている訳です。あぁ、それにしても、こんなに高い木を見上げるのは首が疲れて大変です。

正門の南側に淡い黄緑色の塊をつけている常緑樹はモチノキ(黐の木)です。塊の様に見えるのは、10個以上もの花が集まっているからです。開花したひとつひとつの花には、葯をつけた4本の長い雄蕊が明瞭に見られますが、中心にある雌蕊の方は退化している様ですから、これはどれも雄花です。この木には雄花しかついていませんから、モチノキは雌雄別株で、この木は雄株ということになります。

庭の西の方にモチノキの雌株を見つけました。縁に淡い紅色を残した雌花の中央には、僅かに裂けた柱頭を持つ淡い緑色の立派な子房があり、逆に雄蕊は4本見えるものの、短く、退化しているようです。

ひょうたん池の南側で、開いたばかりの葉芽の根元(変な表現ですね)から、何やらイソギンチャクの触手の様な得体の知れないものが …

翌々日にはもっと凄いことに … もう驚きです。

更に翌日、もじゃっとした虫の様になりました。よくよく注意して観ると、触手のようなものは二本ひと組で、ふっくらした卵型のそれぞれの子房から二裂して伸びているものであることが判ります。なるほど、雌蕊らしく思える様になりました。結局、正体はヤマグワ(山桑)の雌花であることが判明しましたが、実に新鮮な驚きの四日間でした。植栽スタッフの方に、梅林の方にも同じクワの木があるよと教えられ、見るとそれもやはり雌株でした。

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